MIGAKI Kei ミガキケイ

ブリーディングエッジのマキシーン

「上下巻に分けてほしかったなァーーー」とかなんとか言いたくなる、700ページ弱のピンチョン新作、ブリーディングエッジ。
読み終えた今なら、上下巻に分けられていなかったことが逆に嬉しい。
これは物理的な、それなりの大きさを持つ塊として、本棚の一隅を占めるべき小説。
装丁には少々不満だが、編集と翻訳も大変な苦労が偲ばれる。
ていうかこれは、考えうる限り、最高の翻訳。
…と、原文読んでもいないし読めもしない奴からの、ありったけの称賛と感謝を、日本語版の翻訳と編集に携わった人たちにも送りたい。
「小説の中の言葉が言葉(文字)としての体裁を保ったまま現れ、同時に具体的な人物や情景もそこに存在し物語が展開する」という、人に伝えようとするとチンプンカンプンな、そして自分でもチンプンカンプンなビザールな夢を見つつ、何日かに分けて読み進めたわけですが、その他の積ん読本を無視し、もう一回読みたい衝動にプルプルと駆られているところ。
とにかく、

1)自分の無鉄砲さと理性との揺らぎを自分で面白がりながら
2)感情とか直感とかソウルみたいな「ぼやん」としたものを優先させて行動し
3)結果、誰も救えないし何も変えないし、もしかしたらそれで自分も傷つけつつ
4)つまり、色々悪化させてるように見えて
5)反面、実はほんの少しだけ周りの人々を救い、身の回りを取り囲む世界の空気を軽くしている
6)割とフツーの2児のママ

である、マキシーンが最高。
マキシーンみたいな人間になりたい。
そして、頑張ればマキシーンくらいにならなれそうだ。
そこがまた最高。
というわけで、描きました、マキシーン。

Category : イラスト
2021.06.09 Wed

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